昨年10月、青年会議所の現役時代に関東地区協議会に出向して褒賞やら広報やらを2年間、副委員長委員長でやらせて頂いた時代の仲間から依頼を受けて中小企業にとっての経営理念のあり方について講演(研修)して参りました。
やはり、中小企業にとって経営理念といってもなかなかどうやって作ればよいのかわかりにくいものです。機会がありませんから。中小企業同友会さんやJCの大先輩の会社であります日創研さんあたりでも理念研修や理念作成研修をやられているようです。
私は永年CIに携わっておりますが、どうもそういった一連の理念研修に違和感を覚えます、、、というか同友会さんあたりでやられている理念研修とは、中小企業経営者がどう社長として生きていくかという点に終始し、社員のためとか世の中のためとか語るモノの、お作りになった成果物の冊子を拝見すると失礼ながら非常にチープで、どこの建設会社でもどこの商店でもどこの運送会社でも当てはまるような理念しかありません。私から言わせれば企業理念の体をなしておらず、せいぜい経営者の生き方理念に留まってしまっています。非常にもったいない。
そういった理念研修に「はまっている」経営者に「みなさんがお作りになっている理念は、あくまで経営者の生き方とそれに準じた社員の生き方、会社の運営方針(これは手段である)」に留まっていて、もっと上の概念にあるべき企業の存在価値や果たすべき目的(使命)について全く至っていない」という趣旨で話を聞くと、「その後の定義に事業領域(ドメイン)も規定している」というのであるが、そうではなくて企業として何をもってどのように世の中に(自分も会社もお客さんも地域も世界も)貢献するのか、という企業の果たすべき目的や使命についてことが本来的には企業理念の中になくてはいけないのにかかわらず、社員のためとか株主のためとか、崇高なる企業が世の中の発展に対してどのように貢献するか、小さいながらもわずかながらも確実に貢献している姿、そういう叫びが企業理念に入っていなければ行けないのにそこまで考えも及ばず、表現する言語概念化能力もままならず、非常に気の毒な理念をお作りになっています。竹内日祥上人のおっしゃられる、思想が目的を作り、能力が手段を司るという概念で考えると、能力の世界で運営オペレーションの方針について理念と言っていると残念ながら言わざるを得なくなります。全部が全部そうであるとは言いませんが、そういうケースが非常に多く、新興上場企業の理念なんかもプアでチープなモノが非常に多いのは大変残念です。
最近の不二家の問題もこれは実質的に思想=理念の問題であります。あまりに無思想な企業であることがこれで証明されてしまいました。数寄屋橋の不二家でお子様ランチとペコちゃんサンデーを食べ、パラソルチョコレートをお土産に買って貰い、クリスマスにはペコちゃんの長靴を貰った私として派非常に残念です。もちろん理念は作って額に入れておけばよいモノではないが、魂の叫びを源とする企業としての不二家のあるべき姿を企業理念として定義し、その存在価値や企業として不二家が果たすべき目的、社会における役割、何をもって貢献するかと言うことなどを融合し言語概念化した理念を作り、これを全社の共通の概念として思想的に共有していかねばならないのに、日々のオペレーション(能力や技術の世界)が優先する企業においては効率や能率が最大限優先され、思想的な部分が置き去りにされた顕著な例であります。企業はやはり崇高な理念を持って活動しなければならないという証明に他なりません。
ちょっと前のシンドラーエレベータ、パロマ、雪印、三菱のトラック、ライブドア、村上ファンド、オリジン敵対買収、夜の六本木のジェットコースターなどみんな思想的な部分が置き去りにされ、受験地獄を勝ち抜いたエリートと呼ばれる「頭の良い人たち」が、自分たちだけ良ければよいという思考の中で無思想にその能力や技術(こざかしいテクニック)を駆使していろんな事をやった結果そういうことになったのです。ひいてはばれなければよい、人のせいにするというどうにもならない世界へ入っていくのです。自分たちだけ良ければよいという思考の中で…と数行上に書きましたが、「そんなこと考えてないよ、気が付いたらそうしていたんだよ」と言う人もいるかもしれないが、そうなっていること自体が無思想である証明であります。無思想で高能力の恐い例は、ホリエモンや村上ファンドという自分のことしか考えない「頭の優秀な」人たちが、理念無き(理念は紙に書いてあるがこれも手段手法の世界で書いた空虚なモノである)こざかしいテクニックでグレーなことをどんどん行なった結果であり、出る杭は打たれる等のコメントをする人がいますがこれも無思想な発言であります。自分(たち)のことだけを考え、持てる能力や技術をフル稼働して悪いことをしたと言うだけの話です。
ここで言えることは、中小企業ではもちろん企業理念が必要であると言うことです。
特に決まった作業や加工をやられている会社さんなどはなかなか理念は見いだしにくく、行動方針的なモノくらいしかなかなか思いつかないのですが、俯瞰してよく考えることで自らが行っている1つ1つの作業自体の意義や大義を見いだし、そこから企業としての理念、経営方針(前述の同友解散の研修で理念といっている部分ですが、これはあくまで目的ではなく手段であります)、行動基準、事業領域のような設定を行っていけばよいのです。補足ですが事業領域(ドメイン)の規定は、作っている物、行っているサービス自体はもちろん含まれているけれども、それを通じてどのようなサービスを提供しているのかという本質に踏み込んでいくことで、単純作業ではなく大きな意義を持って機能し社会に役立つ自社の姿が思想的に見えてくるのです。
ここで言う思想とは、イデオロギーや学問としての哲学や純粋な宗教的思想ではなく、経営者としての思想、職業人としての思想、企業としての思想を指します。
遅れれましたが栃木の皆さんありがとうございました。ほのぼのしながらも一生懸命中小企業の経営者の皆さんが自社の経営理念をお考えになる真剣なまなざしに私も沢山のモノを頂いて帰ることが出来ました。
http://www.tochigiyeg.jp/web/info/detail.php?n=0012
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