先日、宿坊に泊まらせて頂く機会を頂戴しました。
精進料理、美味しく食べました。質素ながら温泉並みのお風呂も気持ちよく、山なので散りゆくサクラも美しく山の野鳥の声が澄んだ空気に響きます。
宿坊での食事。
夕食時には気が付きませんでしたが、朝食時にふと割り箸の紙袋に目がとまり、裏面を見てみると、やはり書いてありました。
<以下割り箸袋>
食時の観念
合掌
一滴の水にも天地のめぐみがこもっております。
一粒の米にも万人のちからが加はっております。
ありがたくいただきましょう
(合掌して唱える)
食後
御馳走さま
ということなのですが、
2つの分は、韻も踏んでいて文字数も合わせて有り、シンプルながら分かりやすく心に入ってくる「文」として、2つの単文がリズムよく並んでいます。
私はCIやブランディングのお手伝いをする仕事をしていますが、人様の会社の理念を時に批評し、時にお作りする仕事を業務として行います。そんな関係で沢山の企業さんが持っていらっしゃる企業理念を拝見する機会が多いのですが、なかなか皆様がお作りになった理念の文書にはこのようなリズムも字数もバランスも整った理念の文章を拝見する機会は残念ながら少ないです。
企業の理念とは経営者の思想を言語概念化したものですが、ははーーこれは素晴らしい、なるほど!と感心する機会は少なく、だらだらとくどく説明したり、業種が違っても通用するような理念、同業者全てに通用するような理念が多いだけでなく、文章自体もなかなかシンプル且つ優れた言語表現がされている理念はほとんどお目にかかりません。…なので私の仕事があるのですが…。。
日本○○研究所様、中小○○家△△会さんの研修式の理念策定は、大変素晴らしいのですが、しかし、経営理念という経営に関するあくまで方針にすぎない経営方針の域を出ておらず、企業が何をもって存在するのか、どんな事業をもって社会に貢献することにまで至っていないのが現状です。しか文書的にもレベルがいまひとつ。
これが現在の、特に中小企業の理念の主流になっており、残念です。
かといって、理念やマネジメントについて理解していないちょっとしたCopywriterさんには理念は書けません。どうしてもキャッチフレーズのようなノリになってしまいがちです。
我が社とは何なのか、何のために存在し活動するのか、この究極のひとことこそ企業理念なのですが、そんなことを考える日々、宿坊での朝食をいただく際にシンプル且つ心に染みるメッセージを頂きました。
一晩ながら大変お世話になりました。ありがとうございました。
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