子供の頃から駅弁が好きだった。
やはり子供心に、、
どこか遠くに電車で出かけるイコール駅弁を食べる!
という図式があって、パブロフの犬のように頭が反応していたに違いない。
また、車で行くことが多かったが、たまに父親と一緒じゃない時や後追いあるいは先行の場合に電車で行くからこそレアな楽しみだったのかもしれない。
父親のゴルフの関係で鹿野山に行く時、両国駅で焼きはま(ぐり)弁当を食べた。
天竜川へ鮎釣りに行った父親と合流しに土曜日(ということは私の父は平日から釣りに行っていたということだ)学校が終わって新幹線で浜松に向かう時に東京駅で買う幕の内弁当もしくはシュウマイ弁当。そしてひときわの思い出は軽井沢に向かうそよかぜ(軽井沢に行くに当たっては、長野まで行く客と混在せねばならないあさまではなく軽井沢に行く客しか乗らないそよかぜじゃなければ絶対にだめなのだ。なんたる生意気なガキ!)に乗る時に上野駅で買う幕の内弁当。当時の幕の内弁当で私の心に焼き付いているのは、やはり木を材料とした経木の弁当箱。やはり、駅弁の器は天然素材でなければいけない。ふたにもごまやご飯が貼り付いていて、それを一粒一粒はずして食べたりして。また、必ず入っていた牛肉の甘辛く煮た細切りと挽肉の中間くらいのぽろぽろしたそぼろは一番のおかずであった。
当時、あさまと違い途中の大宮だ熊谷だなんだをすっ飛ばして横川だけ停まる(時折高崎には停まる電車がある)、二時間で軽井沢に行けるそよかぜ号は画期的で、碓氷峠越えの車両連結の際にさらに峠の釜めしを買わねばならない。高崎の達磨弁当や軽井沢のゴルフ弁当じゃ絶対に駄目なの。子供心にどうしてもこれは外せないので、絶対に間に合うのに、間に合わないと行けないと急いで外の駅弁売りの所に走って買いに行った。当時はまだビニール製の入れ物に入ったお茶で、ティーバッグ状の袋に入ったお茶をゆすりながら飲んだものである。これを確か20分位しかない横川〜軽井沢間で完食し、お茶も飲んで、釜をしまって軽井沢に到着と相成るのだが、峠の釜めしは私には絶対に無くてはならない軽井沢への道中の必須項目であった。
昨今の食品業界。
ちょっと前に安心安全、、、ということを前面に出す機械工業的食品メーカーは多くなった。寂しいことである。私の会社も食品系飲食系企業は多いのでその話にはよくなるけれども、純粋に美味しく栄養価があって身体によいモノを提供することがベースと信じている私個人としては、安心安全、、なんて最低限のことなのに…という引っかかりというか心につっかえてなかなか私の心に染みてこないのだが、ここまで偽装だの強烈な残留農薬だの毒餃子だのとなると、安心安全は四の五の言わずに通らなければならないフィルターであり、安心安全でない食品など危なくて食べられない。
この前もフジサンケイビジネスアイに、雪国まいたけの社長が残留農薬その他のデータをWebで公開を始めたとインタビューがあって、栽培過程で化学薬品を使わないのに、培養用の木材チップへの混入や想定外からの混入を常にチェックしているとか。科学的な側面において技術の進歩を喜ぶべきなのか、、しかし思想的にはかなり世も末が近づいているような思いも否定出来ない。
そんな風潮の中、主に出張の際に駅弁を買って車中で食べるが、21世紀出陣弁当から始まって、幸福弁当、幕の内が進化した歌舞伎をさらに進化させた東京弁当から、今日発見した新宿弁当等ご当地弁当の数々から、和の総菜を意識した京都のお料理屋のお昼のお弁当の様なこぎれいなお弁当、カロリーまで計算した野菜タップリのヘルシー系のお弁当が、あくまでもメインの脂っこい肉系中心のコンビニ弁当と反比例するように増えてきた。一部、チキン弁当のような昔ながらのチープながらも人気のお弁当もあるが、、何か違うと思うのは私だけだろうか。。。紐を引っ張ると暖まる仙台の牡蛎飯の弁当や牛タン弁当も独立前の会社勤めの時に非常に画期的でびっくりした覚えがあるけれども、どうも野菜だローカロリーだ何だと言っていながらもどうも機械工業的食品工業のような臭いや安っぽい企画会社やつまらんデザイン会社がバックでいろいろやっているうさんくささがぷんぷんしてなかなか私の心には響かない。
なので、横浜崎陽軒のシュウマイ弁当や小田原のこゆるぎ弁当は、当時の臭いがぷんぷんした手作りの良さが今も生きる秀逸な駅弁である。
本日、近い距離ですが丁度お昼時にあずさに乗車する機会があり、ホームでお弁当を買おうとしたら肥ゆるぎ弁当、デラックスこゆるぎ弁当、鯛飯弁当、(昔ながらの)チキン弁当を、機械工業的食品工場で作った安心安全ヘルシーオンパレードのお弁当の数々の中で発見!まよわず小田原のデラックスこゆるぎ弁当を選択!(ちなみに土曜日は小田原JCの例会で中小企業やBtoB企業のCI戦略と企業理念の講演です。)こゆるぎ弁当はやはり昔の臭いと味がした!器も、側面とふたは木で底は紙。炒り卵、鶏そぼろ、茶飯も美味しい!しかし、天ぷらがショボイ!衣の中のエビを感じない!かまぼこが本場のモノとは思えないほど小さく薄くまずくショボイ!>>確か、、小田原駅の駅弁の会社はJCだったような!?!?
でも、全体的な味も雰囲気はグッド!だけれども食品添加物は意外とたっぷり。
話変わって、、
私、鯖寿司(棒ずしとかバッテラとか)なんかも好きで関西出張の時など帰りによく缶ビールと一緒に買うけれども、一度だまされた気分になったのが某N社の柿の葉寿司。これは葉っぱを使って酢で〆めたネタを寿司飯と包んであるのだけれどもどうも機械的食品工業の臭いがぷんぷん。だめだこりゃと、二度と買うまい。…と心に決めつつも、京都駅でも新大阪駅でも、すし系の弁当を買おうと思うとあちらこちらにN社の鯖寿司やら柿の葉寿司やら。。。挙げ句の果てには東京駅にも新宿駅にも!凄い営業力!JRによっぽど強いコネがあるんですね!びっくりです。いやあ、商品の魅力と営業力は必ずしも、、基、全く一致しないんですね!!と改めて実感。こんな所からブランド開発コンサルのヒントが沢山見えてくるのです。コスト低減で会社にとっては商品力が凄くあったり(ドル箱)するのですが、ここからいろんなことが狂ってくるのです。
ちなみに新大阪なんかでも回転寿司屋さんが出している鯖の棒ずしなんかもあるので要注意!こういう時代なので事前にネットで調べないと!
工場で作るのは今の時代当たり前であるのだが(公共で大衆に売る以上清潔で然るべき施設でなければいけない)、やはり人が食するのにあるべき姿、家族のお弁当をお母さんが作る基準(自分で吟味した材料を使って手作りで愛情込めて)で、、、まあ駅弁だけじゃないですが…。
先日も大変お世話になっている食品メーカーの社長とメールで連絡をしていましたが、やはりこの食品業界全体の状況を嘆いておられました。結果真摯にやっている会社にもいろんな逆風が吹いてということなのですが、結果的に帰るところは世界で一番美味しい食べ物が揃った日本であること、それを支える職人であることを誇りに、高い品質基準を各自が持ってやっていくしかないのでしょう。
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