よくある話なのですが、、私たちの会社は大企業ではなく、中小企業、ベンチャー企業、上場前後の企業(及び経営者)を主な顧客としてサービス提供をしているのですが、それ故のいろんなことがあります。
私たちプロから見ると…こんなので大丈夫なのか…と感じる様なレベルのコミュニケーションツールを(平気で!?)お使いの会社さんとお会いする事があります。これじゃダメだから自社にとってベストの表現でクオリティ高いモノに作り替えたいという経営者の方と、マークはデザインした、理念は作った、会社案内はある、ホームページは作った…と堂々とおっしゃる経営者の方と2つのタイプに分かれます。私たちは後者の経営者の方を説得する様な営業は行ないません。経営者が満足しているのですからそれはそれでその会社に「合っている」のですから、それでよいのです。
しかし、思想的な低さやデザイン的なセンスの無さを提示してしまう様なアイデンティティー表現(事業概念とかけ離れた社名、レベルの低いCIデザイン:シンボルマーク、思想的に低かったり異業種や同業他社にも当てはまってしまう様な企業理念)、それをコミュニケートするちょっとばかりレベルに問題がある会社案内や業務案内、ホームページ等々…。
寿司は寿司でも、銀座の寿司屋が築地で厳選した魚に丹誠込めて仕事をした寿司と回転寿司の寿司は同じ寿司でも違うものです。魚は魚でありすし飯はすし飯であることに違いはありません。しかし、回転寿司の寿司、築地の場外市場の寿司、飲屋街の寿司、お土産用の寿司、一等地の寿司、住宅街の一般的な寿司、オンリーワンを求める知る人ぞ知る店の寿司、回転寿司、宅配寿司、みんな違うのです。何が違うか。金額が違う、職人が違う、客層が違う、立地が違う、素材が違う(同じようで違う)、手間が違う、内装が違う。
同様ラーメンの達人が素材を吟味し丹誠込めて作ったラーメンとカップラーメンはラーメンはラーメンでもやはり全く違うものです。麺は麺であり、スープはスープであることに間違いありませんが、やはり全く違います。はてさて何が違うのか。これは「物(ぶつ)」としての違いではなく、達人のラーメン屋事業と、カップラーメン事業とでは、全く事業として異質の物であり、事業目的もターゲットも事業概要も全く違い、根本的に事業としてベースとなる思想が違うのです。寿司も同じこと。
回転寿司が悪いとか良いとかそういうことではないのです。気軽に安く早く寿司を食べて貰うためのファストフード的な回転寿司は画期的なビジネスモデルです。これが進化というか転化してロンドンやモスクワで超が付く高級料理店として回転寿司屋が大人気とか。
寿司をブランド表現やデザイン、名刺(消耗品なのか自社イメージの重要な発信アイテムなのか〜これも思想により扱いが変わります、会社案内などの表現アイテムに置き換えて考えてみてください。自らの会社や事業を表現する際に、どのレベルの設定をするか、どこにアイデンティティーを置くか〜企業として経営者としての思想の有り処に応じた表現(クリエイティブ)、企業としての事業概念に応じた表現を行わねばならないと言うことです。
自社を説明する際に「八百屋だから野菜を売っている」「建設会社だから建物を建てている」という即物的な表現ではなく、思想的ロジックに基づいて理念から事業そのものまで一貫してクリエイティブ表現を行っているのか、何故野菜を売るのか野菜を売ることでお客様にどのように役に立ち貢献し、ひいては社会にどのように貢献していくのか、という思想的基本に行脚した表現をしているかどうかことです。これは、百社百様であるはずです。しかし多くの経営者の方々にこのあたりの思想的な探索が不足しているので、企業理念があっても、異業種に通用するような表現だったり、同業他社全てが使用できる残念きわまりない理念を作ってしまう。そういった会社さんの会社案内は自然に推して知るべしという水準となります。もちろん、制作会社さんの優劣により表現レベルが上下するという現実的な運不運もあります。そういう会社さんの特徴を引き出しすぐれた表現をしてくれる制作会社さんも沢山あるので、そういう制作会社に当たればよいが、反対の場合もあり、縁や運で表現レベルが上下してしまうと言う事態となります。やはり思想的な基本に基づいた判断基準が採用する企業の側にないといけないはずです。しかし中小企業やベンチャー企業では、経営者がそれを担わない限りなかなか難しいのが現実だと思います。
縁や運だけではどうにもならず、、CIもブランディングも、それを表現する媒体アイテム全て思想に基づく表現物なので、どうするかはその会社の思想によりますから、これで良いんだと言うことであればそれでよいのだと思います。ちょっとレベルがいまいちでも採用する企業サイドが今までのお付き合いの制作会社さんで、、ということであればそれで良いんだと思います。今までのままで良いと堅く信じている相手先から、売り込みに来れば検討するのに、と言われたケースもありますが、できればそんな関係のところに入っていって仕事をくださいと伺ったり、説得したりすることを基本的に望みません。しかし、現在までお付き合いされている制作会社さんのレベル以上の物は絶対にその会社は表現できないのですが、経営者の思想に基づいているのだからそれでよいのだと思っています。ただ、その限界にお気づきになって改めて相談したいと言うことならば仕事にならなくてもいろいろアドバイスを差し上げたりしたいと考えます。
私はクライアントの理念や事業目的を思想的に共有し、あるいは理念に共感を覚えその発展進化のために努力したいので、特に儲かれば勝ち!みたいな思想の経営者の会社さんとはできれば避けたいと思いながら今までやってきました。理念を共有したり共感したりと言うことにはまず至らないからです。しかし得てしてそういう経営者さんは、面倒見が良かったり義理堅かったり人間くさい人だったり、人間的には凄く良い人が多かったりもします。相手の思想を尊重しつつお付き合いしていきたいと考えています。もちろんいろいろお気づきになられて質問頂ければ一生懸命説くように努力をします。
本音の思想が金儲けにある会社さんで営業力や商品力で好業績を上げていらっしゃる場合、自らの会社が表現しコミュニケートしていく発信情報のレベルが、企業としての活動目的の設定、経営者としての思想的な深みをベースとしていることに気が付かれないケースが多い様にお見受けします。気が付く機会がまだ訪れていらっしゃらない、とも言えます。そういう会社さん、名刺は消耗品であり、デザインはあればよい(こんな場合デザインのことはよくわからないから…と言う経営者が多いですね)という特徴があります。ただ、商売のためのツール(パンフやWeb)は物(ぶつ)として必要とは思っていらっしゃる。そういう経営者の方には、私たちの行っているサービス自体が何でもやっている会社なのでよくわからない、、私たちがご提供する付加価値がわからない、と言うことになるのだと思います。ブランドやデザインを寿司に置き換えれば、何しろそういう人にとっては、どんな寿司でも寿司は寿司なのですから(読者の誤解を恐れて補足するとそういう方々が寿司の味をわからないというわけではなく、ブランド表現やクリエイティブデザイン等における判断基準の話です)、寿司が有ればよい、ということで、、、私たちブランディング&プロモーションのプロが見て首をかしげるようなレベルの物で平気なのですから今までのお取引先と仲良くやって行かれればよいのです。うちは広告費に何千万もかけているから、御社の強みを売り込みに来ればよいのにと言われても、結局遠回しにプライドを傷つけないようにいろんな事を言わなければいけなくなるので〜たいていは実を結ばない説得作業となってしまうので〜私は遠慮させて頂いているのです。根本的に理念レベルから再検討して将来の発展に備えたいので一度話をしたい、現状の表現レベルがいまいちだから相談したい、というお話しであれば飛んでいくのですが…。
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