昨夜のバーレーン戦。
我が日本代表は、失点を重ねるような雰囲気はなく相手の良いところであるスピードに乗った逆襲をほぼ完全に封じ、そういう意味では危なげない戦いでしたが、やはり課題である攻撃面で相手を脅かす場面が少なかった。怒濤のコーナーキック&フリーキックの連続攻撃はあったけれども中沢~宮本につながった場面以外ゴール前での決定的な混戦などを作ることがなかなか出来ずに、苦労しました。バーレーンのバックはヘッドが強かったですね。
オウンゴールの一点のみということで、得点力ということが六月までの課題に残りましたが、大黒の台頭や久保の復帰などで、六月は更にフォワードの定位置争いが激しくなるので、競争の中でのレベルアップを、最終予選第2ラウンド、コンフェデカップや東アジア選手権(韓国で北朝鮮とやります)という高いレベルの試合を重ねながら築いていって欲しいものです(盛りだくさんですね)。昨夜は宿敵韓国もホームでUZBEKに2-1で勝ったと言うことで、サウジに0-2のショックから彼らも立ち直ったでしょう。韓国も2勝1敗。
さて、オウンゴールですが、ゴール前への中村からの配球がそれまで必至に守っていたバーレーンのディフェンス陣を混乱に陥れ、一本のキックで試合を決める中村の存在感を示せたと思います。昨夜は、局面局面では切れ味を中村は見せましたが、やはり徹底的にマークされて自由に出来なかったのでしょうが、中村も中田もピッチにいるだけで、ボールをキープするだけで期待感がもてる選手と言うことを改めて感じると共に、我の強い中田とおとなしめの中村が前後に位置することでイラン戦からはボールの流れが良くなりました。今回は続けて一緒に話し、一緒に練習し、一緒に試合をし、一緒に着替えてシャワーをし、一緒に飯を食い、一緒に酒を飲み(これはしてないか)ということで言葉に表せない呼吸の部分も含めて進化したのではないかと思います。
その、オウンゴールの場面。相手のエースのサルミーンは、背後に迫る中沢を恐れ、中沢が背後に密着した時点で、中沢に背中から体を預けて、恐らく背中に2~3割重心を移しながら「足もと近く」でボールをさばくつもりでコーナーキックに逃れようとテクニシャンらしくちょこっと引っかけて蹴ろうとしました(強く外に蹴り出すより安全にゴールの外に蹴ろうとしたつもりのはずです)。ゴール前でディフェンスをしているときに相手にボールの近くに居られたり押されてボールを取られるのは本能的に絶対に嫌なので一生懸命体を入れるものです。体を入れてボールをガードし、大きな中沢に体を預けながらコーナーに逃げようとしたバーレーンのエース・サルミーン。ところが中沢は、いたずらに前に出ようとサルミーンを「押さずに」左脇に出て、サルミーンが回転しながら中沢を交わすかスローインに逃げないために左サイドをケアするように左に動きました。もしかしたら左からサルミーンを交わしてボールを取りに行こうとしたのかもしれません(だとしたら中沢はさらに凄いねえ!)。サルミーンは後ろにあるはずのつっかえ棒がはずれてしまった格好で蹴ったため、足もとにあるはずのボールは重心の移動により本人の足の振り出しよりも前に位置してしまい、ボールをより左にひっかけて蹴る(引っかけ気味に蹴る)ことが出来ずに、ボールは足先に当たり、まっすぐに気持ちの分だけ左に角度が少しだけ付いた形でゴールに吸い込まれました。こけるほど体勢を崩したわけではないけれども微妙に崩れたサルミーンの重心。何というラッキー。なんという因果。サルミーンは直後泣いていたそうです。あの瞬間、中村が蹴る前後のディフェンスとオフェンスの一取りから含めてものすごく沢山の要素が絡まって、あのゴールが生まれました。いやあ、ジーコジャパンは勝負強い。アジアカップのバーレーン戦10人で戦ってロスタイムに中沢がダイビングヘッドで追いついて延長で玉田の毒そうドリブルシュートで4-3で勝ったり、ヨルダンとのPKで3人連続失敗から逆転勝ち、W杯予選でもロスタイムのオマーン戦の久保、北朝鮮戦の大黒、そして今回の執念のオウンゴール。ここまで来ると奇跡ではなく、必然。そう信じています。奇跡は滅多に起きないものだが、修練、執念、戦略、戦術、信念、思想、そういったものの凝縮がこの結果(=必然的な勝利)と信じます。ですから、最終予選も苦しみながらも絶対にドイツに行けます。実力から言えば絶対行けるのだから、悲観するのはやめましょう。
一喜一憂するのは人情ですが、とにかく勝って良かった。勝てば苦戦でも何でも、勝ち点3が残ります。課題は後で修正していけば良い。結果、ドイツへ行ければ良い。批判は封じて、とにかくこの勝利を歓び、次のアウエー2連戦に向けて応援を続けていきたいと思います。ミニW杯であるコンフェデカップで世界を相手にどこまで良い試合をして結果を残すか、東アジア選手権で韓国、中国、北朝鮮とどれだけの試合を出来るのか。2005年、これからも代表から目が離せません(離してはいけません)。
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